- あだ
- I
あだ【仇】〔近世初期頃まで「あた」と清音〕(1)かたき。 うらみのある相手。
「~を討つ」「不倶戴天の~/浮雲(四迷)」
(2)うらみ。 怨恨(エンコン)。「反対されたのを~に思う」
(3)害をなすもの。 害悪。「好意がかえって~になる」
~を恩で報(ムク)・いるうらみのある者にかえって情けをもって恩を施す。⇔ 恩を仇で返す~をな・す(1)うらみに思う。(2)人に危害を加える。 仕返しをする。II「恩を忘れて~すものだ」
あだ【婀娜】※一※ (形動)女の, なまめかしく美しいさま。 色っぽいさま。「~な年増(トシマ)」「お島さんか, ~な名だ/多情多恨(紅葉)」
※二※ (形動タリ){※一※}に同じ。III「その姿の~たるは/鬼啾々(夢柳)」
あだ【徒】(1)実を結ばないさま。 かいのないさま。 むだ。「せっかくの好意を~にしてはいけない」「親切のつもりが~となる」
(2)誠実さに欠け, うわついているさま。「是(コレ)素(モト)より~なる恋にはあらで/金色夜叉(紅葉)」
(3)はかなくもろいさま。「花よりも人こそ~になりにけれ/古今(哀傷)」
(4)扱いがおろそかなさま。 粗略。「たしかに御枕上に参らすべき祝ひの物にて侍る。 あなかしこ, ~にな/源氏(葵)」
(5)役に立たないさま。 つまらないさま。「荒れたる軒に生ひたる~なる草なれども/十訓 8」
(6)俳論用語。 蕉風俳諧で, 無邪気でユーモラスな詩趣のこと。「伊賀の作者, ~なる処を作して尤なつかし/去来抄」
~や疎(オロソ)か(多く下に打ち消しの語を伴って)他人の恩恵や物の価値を軽視するさま。 いいかげん。 あだおろそか。「~にはできない」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.